夏の風物詩ともいえるセミの鳴き声。
「そろそろ夏かな?」と感じる一方で、「まだ鳴いてるの!?」と秋になっても耳にすることもありますよね。
セミはいつから鳴き始め、いつまで鳴くのか——そんな素朴な疑問を持つ方は多いはずです。
特に最近では異常気象の影響で、鳴き始めや終わりの時期が例年とズレるケースも増えています。
この記事では、セミの鳴く期間について、全国的な目安から地域差、種類別の違いまでを網羅的に解説します。
また、鳴き声の意味や文字表現、秋にセミが鳴く理由まで掘り下げて紹介しています。
セミはいつからいつまで鳴く?まずは全体の目安をチェック
一般的なセミの鳴き始めと終わりの時期(全国平均)
セミの鳴き声が聞こえ始めるのは、例年6月下旬から7月上旬頃。
そしてピークは7月中旬から8月中旬にかけて、徐々に9月になると鳴き声も減っていきます。
鳴き止む時期は種類によりますが、一般的には9月下旬〜10月初旬には静かになります。
地域によるセミの鳴き始め・終わりの違い(北海道〜沖縄)
セミの鳴く時期は、地域によって大きく異なります。
以下に代表的な地域ごとの鳴き始め・終わりの時期をまとめました。
地域 | 鳴き始め | 鳴き終わり | 特徴 |
---|---|---|---|
北海道 | 7月中旬 | 9月上旬 | 比較的短く、寒冷地で発生が遅い |
東北・関東 | 7月上旬 | 9月中旬 | 一般的な活動期間で種類も豊富 |
近畿・中部 | 6月下旬 | 9月下旬 | クマゼミなどの活動が目立つ |
九州 | 6月中旬 | 10月初旬 | 活動期間が長く、種類も多様 |
沖縄 | 6月上旬 | 10月中旬 | 早くから長く鳴き、ツクツクボウシも多い |
このように、北海道では7月中旬頃にようやく鳴き始めて9月上旬には静かになるのに対し、九州や沖縄などの暖かい地域では6月中旬から鳴き始め、10月初旬まで続くこともあります。
特に沖縄では気温の高さと湿度の影響で、セミの活動が全国の中でも最も長く続く傾向があります。
年によって変動するセミの鳴き時期(異常気象の影響)
年によっては、梅雨が長引いたり、夏の到来が早まったりすることでセミの鳴く時期も変動します。
特に異常気象の年は、鳴き始めが遅れたり、逆に長く鳴き続けるケースが報告されています。
セミの発生は気温に強く左右されるため、近年の気候変動の影響は無視できません。
種類ごとに違う!セミの鳴き始め・終わりの時期一覧
アブラゼミ~最もポピュラーなセミの鳴く時期
アブラゼミは日本全国に広く分布し、7月中旬から8月下旬にかけて最もよく鳴く種類です。
「ジジジジ…」という騒がしい鳴き声が特徴で、まさに「夏の本番」を象徴する存在です。
ミンミンゼミ~関東でよく聞く、比較的早い時期に鳴く
ミンミンゼミは関東地方を中心に、7月上旬から鳴き始めます。
「ミーンミーン」という透き通るような声で、アブラゼミよりもやや涼しげな印象があります。8月末ごろには鳴き止むのが一般的です。
ツクツクボウシ~夏の終わりから秋にかけて登場
ツクツクボウシは、8月中旬から9月下旬にかけて活動する種類です。
「ツクツクボーシ、ツクツクボーシ」という鳴き声で、夏の終わりと秋の訪れを告げるような存在感があります。
ヒグラシ~朝夕の涼しい時間帯に鳴く、梅雨明けごろから
ヒグラシは6月下旬から鳴き始め、7月〜8月にかけて活発になります。
「カナカナカナ…」という幽玄な鳴き声が特徴で、朝夕の涼しい時間帯によく鳴くため、夏の静けさを感じさせます。
クマゼミ~西日本に多く、早朝から盛んに鳴く
クマゼミは主に西日本で多く見られ、6月下旬から鳴き始めます。
特に朝の時間帯に「シャシャシャシャ」という爆音に近い鳴き声で目覚まし代わりにも。
9月初旬には鳴き止むことが多いです。
セミの鳴き声で季節の移り変わりを感じよう
鳴き声の変化でわかる「夏の盛り」と「秋の訪れ」
セミの鳴き声は、夏の進行とともに変化します。
その鳴き声の移り変わりは、まるで季節のカレンダーのよう。
以下の表に、時期ごとによく聞かれるセミの種類とその特徴的な鳴き声をまとめました。
季節ごとのセミの鳴き声移り変わり
時期 | 主なセミの種類 | 鳴き声の特徴 |
---|---|---|
7月初旬 | ヒグラシ、ミンミンゼミ | 静かで透き通るような声、涼しげな印象 |
7月中旬〜8月 | アブラゼミ、クマゼミ | 大音量でにぎやか、夏のピークを実感 |
8月下旬〜9月 | ツクツクボウシ、ヒグラシ | 終わりを告げるようなリズミカルでやや寂しい音色 |
このように、7月初旬にはヒグラシやミンミンゼミ、7月中旬〜8月にはアブラゼミやクマゼミが活発に鳴き、夏の盛りを知らせてくれます。
そして8月下旬からは、ツクツクボウシの「ツクツクボーシ」という特徴的な声が聞こえ始め、夏の終わりと秋の訪れを告げる役目を果たします。
こうした鳴き声の違いを感じ取ることで、カレンダーを見なくても季節の移ろいを肌で感じられるのが、日本の夏の面白さのひとつです。
鳴き声の意味~オスの求愛行動としての重要な役割
セミの鳴き声は、すべてオスによる求愛行動の一環です。
メスに自分の存在をアピールするために、特徴的な鳴き声を発します。
種類によって鳴き方や音の高さ・リズムは異なり、メスはその違いを聞き分けてパートナーを選びます。
したがって、鳴き声が聞こえるのは基本的にオスのみで、鳴く期間は繁殖活動と密接に連動しています。
鳴き声には、縄張りの主張や他のオスとの競争の意味合いも含まれており、一日を通じて鳴く時間帯にも違いがあります。
朝や夕方など、比較的涼しい時間帯に活発に鳴く種類も多く、鳴き声の背景には気温や天敵の影響も関係しています。
「セミの声がまだ聞こえる…」季節外れに鳴く理由とは?
10月や秋になっても鳴くセミの正体
本来なら9月末には静かになるセミですが、10月に入ってもツクツクボウシなどが鳴いていることがあります。
これは気温の高い年に見られる傾向で、秋にもセミの声を耳にすると「ちょっと不思議」な感覚になります。
異常気象によるセミの発生時期のズレ
近年では温暖化や都市部のヒートアイランド現象により、セミの羽化や鳴き始めが前倒しになったり、逆に遅れたりするケースもあります。
こうした異常気象の影響が、季節外れのセミの鳴き声の背景にあると考えられます。
季節外れのセミを見かけたときの考察
10月にセミを見かけると「生き残り?」と驚く人も多いですが、実際には遅れて羽化した個体である可能性が高いです。
気温や湿度、天候の微妙な違いが、羽化タイミングを左右するため、完全に異常とは言い切れません。
セミがいつからいつまで鳴くかに関連した質問(Q&A)
Q:セミは梅雨明け前から鳴くこともあるの?
はい、あります。特にクマゼミやヒグラシは気温が高ければ梅雨明け前でも鳴き始めることがあります。
セミは地中での生活を終えて羽化する際、気温が一定のラインを超えることがきっかけとなるため、6月中旬の段階でも十分に暖かい日が続けば、梅雨明けを待たずに鳴き出すことがあります。
ただし雨が多いと活動はやや鈍くなります。
特に強い雨が続く場合、羽化後のセミは鳴かずにじっとしていることが多く、雨音にかき消されて鳴き声が届かないこともあります。
Q:都市部と田舎ではセミの鳴く時期に差はある?
あります。都市部ではヒートアイランド現象の影響で気温が高く、セミの羽化や鳴き始めが早まる傾向にあります。
アスファルトや建物からの照り返しによって地表温度が高まり、土中の温度も早期に上昇しやすいため、セミの活動開始が前倒しになるのです。
これに対して、自然が豊かな地域では緑が多く気温の上昇も緩やかであることから、セミの羽化も例年通りの時期に行われることが多く、鳴き始めや終わりのタイミングも季節の流れに沿った形で推移します。
また、都市部では夜間でも気温が高めに保たれるため、セミが夜間や早朝に鳴くといった現象も見られることがあります。
まとめ
セミがいつからいつまで鳴くのかという疑問には、全国平均だけでなく、地域やセミの種類、さらには気候変動といった多様な要素が影響しています。
6月下旬から10月初旬までという長いスパンの中で、鳴く種類や時間帯もさまざま。
鳴き声を通して季節の流れを感じるというのは、日本ならではの風情ある文化ともいえるでしょう。
特に都市部では異常気象の影響でセミの活動時期が変化していることもあり、耳をすませば新しい発見があるかもしれません。