退職後に源泉徴収票が届かないことは珍しくなく、多くの退職者がこの問題に直面しています。
退職しても、元の勤務先からは法的に源泉徴収票の提供が義務付けられていますが、必ずしも自動的に送付されるわけではありません。
通常は直接電話で請求することでスムーズに対応してもらえることが多いですが、電話することが避けたい状況もあるでしょう。
例えば、退職時の不快な出来事や元の会社に対する否定的な感情など、様々な事情があるかもしれません。
それにも関わらず、源泉徴収票は確定申告や新しい職場での年末調整に必須の書類です。
そんな時、電話を使わずに源泉徴収票をどのように請求すればよいのでしょうか?
この記事では、そうした状況で役立つ方法をご提案します。
電話を使わずに源泉徴収票を入手する方法
退職後、源泉徴収票が必要でも、以前の職場とは極力関わりたくない場合があります。
特に退職が不本意な条件であったり、今後その会社と一切関わりたくない場合、電話をかけること自体が精神的な負担になることもあるでしょう。
電話連絡後に職場に直接来るよう要求される恐れもあります。
こうした状況を避けるために、手紙での請求が有効です。
手紙を用いた請求の際には以下の点を守ると良いでしょう。
- 返信用封筒を同封する
- 簡易書留で送る
返信用封筒を同封することで、書類の受け取りを会社側に容易にし、直接取りに来るよう要求されるリスクを減らします。
封筒には自分の住所を事前に記入し、適切な切手も貼っておくことが重要です。
これにより、相手は書類を封筒に入れて郵便箱に投函するだけで済みます。
また、書面を簡易書留で送ることは、会社が応答を怠ることを防ぐためにも有効です。
これにより、手紙が確実に届いたという証拠が残ります。
源泉徴収票の送付は会社の義務ですが、時には自分から積極的に動かなければならないこともあります。
簡易書留での送付が過剰な対応に感じられるかもしれませんが、自己防衛の一環として考えると、必要な措置です。
郵送で源泉徴収票を請求する際の手紙の書き方
電話を使わずに源泉徴収票を郵送で請求するには、どのように手紙を書けば良いでしょうか?以下に例文を示します。
株式会社〇〇
経理部 担当者様
〇〇(自分のフルネーム)です。
退職時には多大なご厚情を賜り、心より感謝申し上げます。
確定申告のため、令和〇年度の源泉徴収票をお手数ですが、〇月〇日までに以下の住所に郵送いただけますようお願い致します。
返信用封筒を同封いたしましたので、ご利用いただけますと幸いです。
敬具
(日付)
(自分の名前)
この手紙により、具体的な期日を設けることで、スムーズに書類の返送を促すことが期待できます。
なぜ源泉徴収票が必要なのか?
源泉徴収票は、年末調整や確定申告時に必要な重要な書類で、退職後も以前の勤め先からこれを受け取ることが法律により義務付けられています。
年末調整とは、一年間の所得をもとに実際に支払うべき税金を計算し、予め支払った税金との差額を調整する手続きです。
このプロセスによって、所得税の支払いが正確に行われます。
通常、退職者は退職から1ヶ月以内に前の職場から源泉徴収票を受け取ることが一般的ですが、事務処理の遅れや単純な忘れによって遅れることがあります。
もし源泉徴収票を紛失したり、退職先が倒産したりした場合は、給与明細を基に確定申告を行うことも可能です。
そのような状況になった際には、税務署に相談し、適切な手続きを行うことが推奨されます。
手紙での請求に応じない場合の次のステップ
もし源泉徴収票を郵送で請求しても何の返答もない場合、次に考えられる手段は「源泉徴収票未交付届出書」を税務署に提出することです。
この届出書は、給与を支払う側が源泉徴収票を発行しない場合に、その事実を税務当局に報告する公式な手続きです。
この文書を税務署に提出することにより、税務署が関係する企業に対して源泉徴収票の発行を促す指導を行います。
国税庁のウェブサイトから届出書をダウンロードし、記入後に最寄りの税務署へ直接持参するか、郵送で送ることができます。
この手続きには法的な強制力はないものの、税務署の介入により企業が対応に動くことが一般的です。
また、実際に届出を提出する前に、退職した会社に対して「税務署や労働基準監督署に相談することを検討している」と伝えると、届出を行う前に源泉徴収票の発行に至るケースもあります。
このアプローチが時には迅速な対応を促すことがあります。
新職場で源泉徴収票が必要な理由
転職した場合、年末調整を新しい職場で行うためには、前職での給与と所得税の情報が記載された源泉徴収票が必要です。
特に年内に転職した人は、新職場で一年分の収入と税金の調整をする必要があるため、この書類が不可欠です。
新職場での年末調整に前職の源泉徴収票を提出することで、正確な税金の計算が可能になります。
年末調整は通常11月から翌年1月にかけて行われるため、それに間に合うよう前職から源泉徴収票を取得しておくことが重要です。
まとめ
一般的には、退職した会社から源泉徴収票を受け取るには直接電話で連絡する方法がありますが、電話を避けたい場合は文書での請求が効果的です。
文書で請求する場合、返信用封筒を同封しておくと受け取りがスムーズです。
また、書類が届かないという事態を防ぐために、簡易書留で送るのがおすすめです。
これにより、送付した請求書が確実に相手に届いたことを証明できます。