イニシャルを使用する場面は様々です。
自分の持ち物に識別マークとして付けたり、個人の名刺を作る時、プレゼントに名前を入れる際などがその例です。
イニシャルの書き方には、頭文字の並び順やドットの位置など、細かなルールが関わってくるため、しばしば疑問が生じます。
この記事では、イニシャルを名前表記に用いる際のアルファベットの順序とドットの正しい配置方法について詳しく解説します。
イニシャルの基本的な書き方
イニシャルとは、名前をアルファベットにしたときの、名前(名)と苗字(姓)の最初の一文字を使った表記です。
アルファベットにはヘボン式と日本式の二種類があり、パスポートなど公式な書類ではヘボン式が多用されています。
日常生活で名前をアルファベットで書く際も、ヘボン式に従うのが一般的です。
普通は名前と苗字の初めの一文字ずつを使いますが、物に名前を記す際や、簡単なサインをする時には、片方の文字だけを使用することもあります。
例えば、「ヤマダタロウ」の場合、
T.Yamada
Taro Y.
のように、どちらのスタイルを選んでも良いわけです。
特にビジネスの場では、姓をはっきりさせた方が好ましいため、名を省略して姓を完全に書く方法がよく用いられます。
イニシャルの順序について
イニシャルをどの順番で配置するかに関して、日本では特に定められた規則はありませんが、「名前→姓」の順で示す方法も存在します。
ただし、文化庁は2019年5月21日に、ローマ字での名前表記は「姓・名」の順が望ましいと発表しました。
これは過去20年にわたって提唱され続けていることで、まだ一般に浸透していない状況を改めて指摘したものです。
かつて、欧米の習慣にならい「名前→姓」の順が一般的であり、私の中学時代の英語教育でもそのように教えられました。
明治時代に採用された西洋化政策や、「郷に入っては郷に従え」の思想の影響で、この順序が根付いたのかもしれません。
現代では、英語の教科書には「名前→姓」または「姓→名前」のどちらの順序も見られます。
私の子供も小学校で「姓→名」の順で英語を学んでいますが、英会話学校では逆の順序で教わっています。
テレビでは、芸能人のイニシャルが「姓→名」の順で表示されることが多く、英字新聞では「名→姓」の順が一般的です。
一方で、歴史的人物や文化人の名前は「姓→名」の順で書かれることが多いです。
中国や韓国では、ローマ字表記も含め「姓→名」の順序が一般的ですが、国際的な名前の順序はまだ統一されていません。
最終的に、公的文書でイニシャルを使う機会は少なく、個人の持ち物にイニシャルを記す際には、どちらの順序を採用しても問題はありません。
イニシャルでのドットの適切な使用方法
イニシャルにドット(.)を加えるのは一般的ですが、その正確な使い方をお教えします。
ドットは略語や省略された部分を示す際に用いられます。
よく見る「Y.T」という表記では中央にドットが置かれていますが、これは実は誤りです。
正しい形式は「Y.T.」となり、各頭文字の後にドットを置くのが一般的なルールです。
例えば、名前を一部だけ略すスタイルの場合は以下のように省略部分にのみドットをつけます。
Yamada T.
Y.Taro
Taro Y.
T.Yamada
また、名字と名前を区別するためにコンマ「,」を使用することもあります。
これは通常、名字を明確にするために名字の後に配置されます。
Yamada,T.
T.Yamada,
名字を目立たせるためにすべて大文字で書くこともあります。
YAMADA T.
T.YAMADA
まとめ
現在の流行では、日本語の名前の順序(名字→名前)に沿ったイニシャルの使用が推奨されています。
状況によってはどちらの頭文字か判断しにくいこともありますが、これを覚えておくと便利です。
イニシャルを使用する際には、他人が識別しやすいように、どの部分を省略するかを適切に選ぶことが大切です。